終糸病と神経頭蓋脊柱症候群および関連疾患の定義

最終更新日: 09/10/2018, ミゲル・ロヨ医師, 登録番号: 10389. 脳神経外科医、神経内科医 筆者からのコメント ここに掲載している内容は、近日発表される終糸切断手術の治療計画をまとめた終糸システム®サージェリー(Filum System® Surgery)に関する書籍の一部を抜粋したものです。 終糸病は、病気のメカニズムと発症部位の類似性からよく他の病気と間違えられることがあります。これは一般の人にかかわらず、神経科学に詳しい医療従事者の間でも起こっていることです。そこで、ここでは終糸病、神経頭蓋脊柱症候群、終糸システム(FILUM SYSTEM®)という新しいコンセプトを説明するとともに、類似する病気(その中には終糸病に属す病気もある)を挙げ、詳しく解説していきます。 ここに掲載されている内容は、すべてバルセロナ自治大学で行われた研究を基にし、博士論文や科学雑誌などで公の場に発表されているものです。執筆は孤独で静寂な作業ですが、科学者たるもの絶対に放棄してはならないと考えております。 最後になりましたが、当内容が新しい病気のコンセプトを理解する上で少しでもお役に立てることを願っております。 脳神経外科医・神経内科医 ミゲル-B・ロヨ-サルバドール 病気の定義、用語、概要など ここで特に重要なのは、脊髄牽引症候群/脊髄終糸症候群/緊張性脊髄終糸と混同されやすい「終糸病」と「神経頭蓋脊柱症候群」の定義と命名および記述日です。また終糸病は、脊髄係留症候群や潜在性二分脊椎といった病気と間違えられることも多々あります。 そのような混同されやすい病気の定義とコンセプト、そして終糸病に関連した病気を以下のようにまとめました。 1. 脊髄係留症候群(Tethered cord syndrome) 2. 潜在性二分脊椎(Spina bifida occulta) 3.脊髄牽引症候群(The cord-traction syndrome)/脊髄終糸症候群(The filum terminale syndrome)/緊張性脊髄終糸(Tight filum terminale syndrome) 4. 脊柱側弯症(Scoliosis) 5. アーノルド・キアリI型症候群(Arnold Chiari I Syndrome) 6. 脊髄空洞症(Syringomyelia) 7. その他の関連疾患:扁平頭蓋底(Platybasia)、頭蓋底陥入症(Basilar Impression)、歯突起後屈(Retroflexed Odontoid)、脳幹のよじれ(Angulation of the brain stem) […]
アーノルド・キアリI型症候群

最終更新日: 29/01/2019, ミゲル・ロヨ医師, 登録番号: 10389. 脳神経外科医、神経内科医 定義 アーノルド・キアリI型症候群(キアリ奇形I型)は、小脳の下の部分の小脳扁桃が大後頭孔から脊柱管へ下垂する病気で、脊髄内に奇形などは見つかりません。ある文献によれば下垂が3mm以上や5mm以上でなければ小脳扁桃下垂と認めないもの、または下垂が0mmでも小脳扁桃下垂と診断するものや、小脳扁桃への影響がみられ、なおかつ症状が出ている場合に診断される場合もあります。 図1:アーノルド・キアリI型症候群における小脳扁桃の下垂を表した図。小脳が脊柱管内に落ち込むことによって小脳の上部にスペースができています。 症状 アーノルド・キアリI型症候群(キアリ奇形I型)において症状は様々ですが、特に頻繁に確認される症状を多い順に列挙すると、頭痛、頸痛、手足の麻痺、視覚障害、手足の疼痛、感覚異常、めまい、 嚥下障害、腰痛、記憶障害、歩行障害、胸痛、平衡感覚障害、痛覚異常、言語障害、括約筋障害、不眠症、嘔吐、失神、震えです。 分類 アーノルド・キアリ症候群には従来からの4つの分類に加え、近年新しい分類2つが加えられました。 1型:他の神経系奇形が見られない小脳扁桃下垂 2型:脊髄を脊柱管に固定させる神経系奇形が見られる小脳扁桃下垂 3型:小脳の脱出といった脳の異常が見られる小脳扁桃下垂 4型:小脳テント形成不全などの小脳形成不全が見られる小脳扁桃下垂 近年加えられた分類: 0型:小脳扁桃下垂は見られないが、アーノルド・キアリI型症候群特有の症状が見られるもの 1,5型:脳幹の大後頭孔内への脱出を伴う小脳扁桃下垂 原因 アーノルド・キアリ症候群の原因は、ある奇形が脊髄を引っ張ることで脊髄に牽引がかかり、アーノルド・キアリ症候群が起こりますが、アーノルド・キアリ症候群のI型で見られる形態学的変化は、小脳扁桃下垂のみで奇形は見られません。アーノルド・キアリI型症候群の見解は以下の通りです。 – 当研究所の治療計画「終糸システム®」による見解 当研究所のロヨ脳神経外科医の見解によると、緊張性終糸(MRIなどの画像では明らかにならない)によって引き起こされる脊髄の引っ張り=牽引が、アーノルド・キアリ奇形I型を引き起こしています。 – 従来の見解 流体力学:髄液循環異常が原因で小脳扁桃下垂(アーノルド・キアリ奇形I型)が起こっているという見解。 奇形によるもの:後頭蓋窩の容積が普通の人より小さいことで、小脳が脊柱管内に落ち込み、小脳扁桃下垂(アーノルド・キアリ奇形I型)が起こっているという見解。 図2:生後8ヶ月時と生後20ヶ月時の患者のMRI画像。小脳扁桃下垂が確認できます(遺伝的要素に加えて、後天的要素も見られます)。出典:Huang P.”Acquired”Chiari I malformation. J.Neurosurg. (1994). アーノルド・キアリI型症候群のリスク要因 アーノルド・キアリI型症候群のリスク要因は、以下の通りです。 遺伝: 異常な緊張終糸によって起こる脊髄牽引(当研究所では終糸病と定義)が小脳扁桃を下垂させ、アーノルド・キアリ症候群を引き起こします。異常な緊張終糸は生まれつきのもの(先天性)であり、遺伝します。 突発的な脊髄牽引の増大: 先天性緊張終糸を有する人が交通事故、転倒、脊椎損傷などをきっかけに脊髄牽引が増大する可能性があることがわかっています。脊髄牽引の増加によって、小脳扁桃の更なる下垂や小脳扁桃の大後頭孔付近での圧迫が増し、症状の変化が見られます。キアリ奇形の原因が交通事故だと誤解される場合がありますが、そうではなく、もともとあった牽引が事故をきっかけに解剖学的レベルおよび症状において突発的悪化をもたらしたからです。 アーノルド・キアリI型症候群の合併症 […]
脊髄空洞症

最終更新日: 05/02/2019, ミゲル・ロヨ医師, 登録番号: 10389. 脳神経外科医、神経内科医 定義 特発性脊髄空洞症は脊髄内に空洞ができる病気で、症状は脊髄損傷によるものが主で、特に温覚異常が見られます。 図1 終糸の牽引で脊髄が虚血状態になり、壊死が起こっている図。脊髄内に間質液が現れ、空洞が形成されます。 記述:脊髄空洞症についての記述は、1546年のエティエンヌ(Estienne)による“La dissection des parties du corps humain(シャルル・エティエンヌの人体解剖所)”で初めて報告されています。 命名:1824年にパリにて解剖学者のCharles Prosper Ollivier d’Angers (1796–1845)が”Traité de la moelle epinière et ses maladies”内で脊髄空洞症と命名しました。 罹患率:終糸システム®の基準に従うと、人口100万人に対し脊髄空洞症患者は84名となり、従来考えられていた罹患率よりも高くなります。 症状 脊髄空洞症で頻繁に確認される症状を多い順に列挙すると、手足の痛み、頸痛、温覚異常、痛覚異常、腰痛、胸痛(背部痛)、頭痛、歩行障害、麻痺、括約筋障害です。 分類 A. 特発性脊髄空洞症(または一次性脊髄空洞症):脊髄内に空洞ができる原因不明の脊髄空洞症。 B. 二次性脊髄空洞症:二次性脊髄空洞症は、腫瘍、外傷、感染などによって脊髄内に間質液のつまった空洞が現れます。この空洞はおそらく腫瘍、外傷、感染などの高侵襲の影響によるもの、あるいは圧迫や牽引、もしくはその3つのいずれかの組み合わせで脊髄実質の壊死が起こり、形成された可能性があります。 原因 – 従来の見解 流体力学:特発性脊髄空洞症の空洞は、髄液循環障害が原因で起こっているという見解。 奇形によるもの:後頭蓋窩の容積が普通の人より小さいことで、小脳が脊柱管内に落ち込み、髄液循環異常を起こし、脊髄内に脊髄が流れて空洞が形成されるという見解。 -当研究所の治療計画「終糸システム®」による見解 当研究所のロヨ脳神経外科医の見解によると、特発性脊髄空洞症の空洞は、緊張性終糸(MRIなどの画像では明らかにならない)が引き起こす脊髄の引っ張り=牽引によって脊髄内が虚血状態になり、神経組織の壊死をもたらし、その結果、脊髄内に間質液が現れ、空洞が形成されます。空洞が悪化すると、空洞周辺の空間や上衣管に髄液が漏れ、空洞内の間質液が髄液に入れ替わります。 -終糸病 ロヨ医師の研究を基に発表された博士論文(1992)の結果、アーノルド・キアリI型症候群、脊髄空洞症、脊柱側弯症、扁平頭蓋底、頭蓋底陥入症、歯突起後屈、脳幹のよじれなどの原因不明と考えられていたものが、終糸病という脊髄と全神経に対する牽引から起こっていることが明らかになりました。 終糸病において、全神経系にかかる牽引はすべてのヒト胚で起こっており、程度の差はあっても影響を与えており、その程度や形は様々です。椎間板ヘルニア、脳小血管病、椎間関節症、バーストラップ病、線維筋痛症、慢性疲労、夜尿症、尿失禁、下半身の筋力低下などの原因も終糸病に付随しています。終糸病の正確な診断、治療、術後の経過観察などを明確にするため、独自の治療計画「終糸システム®」を立案しました。 リスク要因 脊髄空洞症のリスク要因は、以下の通りです。 […]
脊柱側弯症

最終更新日: 31/10/2018, ミゲル・ロヨ医師, 登録番号: 10389. 脳神経外科医、神経内科医 定義 特発性脊柱側弯症は背骨が側方に弯曲する病気で、原因はわかっていません。女性に多く見られ、特に成長期によく確認されます。 図5 特発性脊柱側弯症患者の脊椎を写したMRI画像(冠状断)。脊柱管内にある脊髄が背骨の弯曲部を当たっている様子がうかがえ、終糸による脊髄牽引があることが確認できます。 症状 脊柱側弯症の症状は様々で、特に顕著に現れる症状は腰痛、背部痛、頭痛、歩行障害、背中の凝りや感覚異常などです。 原因 a. 従来の見解 脊柱側弯症に対する従来の見解は、傍脊椎筋の不均衡、靭帯の変性、姿勢の悪さ、重力や筋動作による脊髄反応、先天性代謝異常、神経学的異常によって背骨が曲がり、脊柱側弯症が起こると言われています。 b. 当研究所の治療計画「終糸システム®」による見解 特発性脊柱側弯症は、緊張性終糸(MRIなどの画像では明らかにならない)が引き起こす脊髄の引っ張り=牽引からの回避、または補償の結果、背骨が側方に弯曲しています。特発性の脊柱前弯症、脊柱後弯症、脊椎の生理的弯曲の消失なども同じ原因で起こっています。 全脊柱X線画像から見る脊柱側弯症 脊柱側弯症の診断および経過観察に不可欠なのが、全脊柱X線検査です。これは1枚のフィルムに脊椎全体を写したレントゲン写真で、正面と側面から撮影されます。 他の脊柱側弯症:二次性脊柱側弯症 二次性脊柱側弯症は腫瘍、外傷性、感染症などが原因で、背骨が前方または前後に弯曲します。 特発性脊柱側弯症のリスク要因 特発性脊柱側弯症の発症につながるリスク要因は、以下の通りです。 遺伝: 異常な緊張終糸によって起こる脊髄牽引(当研究所では終糸病と定義)が背骨を左右に曲げ、脊柱側弯症を発症させます。異常な緊張終糸は生まれつきのもの(先天性)であり、遺伝します。 年齢: 特発性脊柱側弯症は、身体の成長が最も著しい思春期に多く発症、確認されます。乳幼児期や思春期後期に観察される脊柱側弯症もあり、この時期に起こる側弯症は、脊髄牽引が突発的に増加し脊柱側弯症を発症することがあります。 性別: 脊柱側弯症は男女問わず発症する病気ですが、多くの最新の研究では、成長期の女子の脊柱側弯症発症率がより高いことがわかっています。 側弯の角度: 特発性脊柱側弯症のコブ角が40度以上の場合、年齢に関係なく、緊張性終糸によって生じた弯曲に加え、直立二足歩行時に受ける重力が加わります。よって、40度〜50度を超える側弯症は重度の脊柱側弯症、さらには70度〜90度まで悪化する場合もあります。 突発的な脊髄牽引の増大: 先天性緊張終糸を有する人が交通事故、転倒、脊椎損傷などをきっかけに脊髄牽引が増大する可能性があることがわかっています。脊髄牽引の増加によって脊柱側弯症が悪化し、事故や脊椎損傷が脊柱側弯症の原因だと誤解される場合がありますが、そうではなく、もともとあった側弯が事故や脊椎損傷をきっかけに悪化したからです。 特発性脊柱側弯症の合併症 脊柱側弯症のコブ角の大きさによっては身体に様々な影響を及ぼし、時間の経過とともに身体機能の低下や不全といった日常生活に支障をきたす恐れがあります。主に見られる合併症は以下の通りです。 慢性疼痛: 脊柱側弯症において背中の痛み、頭痛、歩行困難、背中や手足の凝りなどは慢性疼痛になりやすく、次第に痛みの度合いも増えていきます。 容姿: 脊柱側弯症のコブ角が20〜30度以上の場合、脊柱の側弯に合わせて姿勢に変化が現れ、身体の左右非対称が際立ってきます。特に思春期になると過度に背骨の変形が気になり、心理的ストレスにつながることがあります。 胸椎損傷:重度の脊柱側弯症のケースでは、胸郭が肺や心臓などを圧迫し、呼吸機能や心機能に影響を及ぼします。 特発性脊柱側弯症の治療 脊柱側弯症はヒポクラテスによって初めて記述されて以降、背骨のゆがみを矯正しようと整体、理学療法、牽引、装具療法など実に様々な治療が試みられてきました。上記の治療でも効果が見られない場合は、金属を入れて背骨を固定する脊椎固定術という外科手術でゆがみを矯正します。特発性脊柱側弯症は病気の原因がわかっていないため、上記の治療法はあくまでもすでに起こってしまった症状に対する対処療法で、ゆがみの矯正のために行われるものです。 ロヨ医師が1993年に発表した博士論文では、終糸によって引き起こされる全神経系の牽引が特発性脊柱側弯症およびその他の関連疾患の原因であり、外科手術によって終糸を切離することで、脊髄牽引がもたらしていた圧力を取り除き、脊柱側弯症の病気の原因を取り除くことができます。 バルセロナキアリ奇形&脊髄空洞症&脊柱側弯症研究所では、独自の低侵襲治療である終糸切断手術を行い、現在までに1400名以上の特発性脊柱側弯症患者を手術しました。重度の合併症は一つもなく、術後はすべての症例において脊椎が受けていた圧迫感を取り除くことができました。コブ角が40度を超えない脊柱側弯症患者の場合、側弯気味だった背骨はほとんどの症例で改善が見られました。コブ角が40度を超えている場合は、脊椎にかかる重力を軽減するために従来の脊椎固定術を受ける必要があります。 終糸切断手術 メリット: 1. 脊柱側弯症の原因を取り除くことができる。 […]
頭蓋底陥入症

最終更新日: 13/05/2025, ミゲル・ロヨ医師, 登録番号: 10389. 脳神経外科医、神経内科医 定義 頭蓋底陥入症は、最も頻繁に見られる大後頭孔から頸椎-大後頭孔の奇形で、しばしば頸部延髄領域の神経機能不全が見られます。これは、大後頭孔骨周囲が後頭蓋窩内部に陥入し、その容積が減少、頭蓋底が通常とは反対の杯状の形状になります。 大後頭孔は通常小さく、変形し、頭蓋腔内で上向きに変位しています。斜台は高く、環椎は未発達で、非対称であることがあり、通常は後頭骨に付着しています。歯突起と軸椎は正常な位置から前方および上方に突出し、脊柱管に侵入しています。頭蓋底陥入症は、アーノルド・キアリI型症候群と関連していることが多く、頻度は下がるものの脊髄空洞症を伴うこともあります。 図1 頭蓋底陥入症。頭部CTの大後頭孔後下縁と硬口蓋後縁を結ぶChamberlain線が歯突起先端を通る必要がありますが、画像上では5,3cm突出しています。 症状 頭蓋底陥入症の約半数は無症状ですが、残りの半数は神経系に副作用を及ぼす可能性があります。主な症状は、頭の前傾傾向を伴う首の短縮、過伸展、斜頸、頸部の可動域制限、頸部-後頭部の痛みなどです。神経学的症状は、筋力の低下と痙縮、歩行の不安定さ、感覚障害および段階的な感覚消失といった頸髄上部の圧迫によって起こるものです。また、慢性的な頭蓋内圧亢進に関与している可能性があります。 頭部CT検査 頭蓋底陥入症の診断と経過観察のために、頭部CT検査または頭頸部(側面)のX線が行われます。診断はMRI検査を通して行われることもありますが、その後の経過観察は、CT検査またはX線検査が有効です。 診断方法は、両乳突線を結ぶFischgold-Metzger線および両乳突起痕を結ぶFischgold-Metzger線といったFischgoldの測定、または現在最も使われているMc Gregor線やChamberlain線などで行われます(図1)。 原因 -従来の見解: 特発性頭蓋底陥入症は先天的奇形から起こると考えられ、頭蓋骨縫合早期癒合症が原因という見解。 二次性頭蓋底陥入症は、関節リウマチ、副甲状腺機能亢進症、骨ページェット病、骨形成異常症、くる病などの病気が関連して起こるという見解。 -当研究所の治療計画「終糸システム®」による見解 頭蓋底陥入症で観察される変形は、胎児期における脊髄と脊柱を含む中枢神経系間の成長の非同期という先天的なメカニズムが原因です。これにより、異常な脊髄牽引が発生し、尾骨から終糸によって頭蓋部に伝達されます。この牽引力がより強くより早く発生するほど、頭蓋底陥入症の症状に大きく影響を与えます。 頭蓋底陥入症は、アーノルド・キアリI型症候群、特発性脊髄空洞症、特発性脊柱側弯症、および後頭部接合部の関連奇形(これらは全て終糸病からくるもの)と同様に、過緊張にある終糸によって生じる異常な脊髄牽引の原因を共有しています。 リスク要因 T頭蓋底陥入症のリスク要因は、以下の通りです。 遺伝: 異常な緊張終糸によって起こる脊髄牽引(当研究所では終糸病と定義)が頭蓋底陥入症を引き起こします。生まれつきのもの(先天性)であり、家族間で遺伝します。全神経系にかかる牽引は、すべてのヒト胚で起こっており、程度の差はあっても影響を与えており、その程度や形は様々です。 合併症 頭蓋底陥入症の合併症は、脊髄牽引の程度や、大後頭孔付近に生じる力学的衝突によって異なり、この力学的衝突は、脊髄と脳幹部間の牽引の程度に影響を与えます。 生活の質の低下: 頭蓋底陥入症において、斜頸、頸部の可動域制限、頸部-後頭部の痛み、筋力の低下と痙縮、歩行の不安定さ、感覚障害および感覚消失が慢性化し、患者の病状が徐々に悪化し、日常生活が制限されます。 慢性疼痛:頭蓋底陥入症によって引き起こされる頭痛や疼痛は、抗炎症剤や鎮痛剤などの薬物治療では効果が得られない場合が多く、ペインクリニックなどで集中的に治療を受ける必要があります。 突然死: 力学的衝突が生じるところは脳幹部の心拍数-呼吸機能を司るところで、圧迫されることによって睡眠時の呼吸異常、例えば睡眠時無呼吸症候群や突然死などを引き起こします。よって、早期診断・早期治療が重要な病気です。. 治療法 頭蓋底陥入症の治療法として従来行われるのは、大後頭孔減圧術といわれる外科治療です。外科治療が適用になるのは症状が見られる患者さんで、病気の悪化によって命にかかわる場合などに適用されます。 一方、当研究所のロヨ医師が発表した博士論文によって、頭蓋底陥入症などの原因が、脊髄の末端にある終糸が全神経系を下に引っ張っているためだと明らかになったことで、1993年から外科治療によって終糸を切断し病気の原因を取り除く、終糸切断手術という新しい治療法が生み出されました。当研究所で行われている終糸切断手術は、身体に負担の少ない手術であり、病気の症状の有無に関わらず手術が行われ、病気の進行を阻止できます。 終糸システム®適用での終糸切断手術 メリット 1. 頭蓋底陥入症およびその他の関連疾患の原因を取り除くことができる。 2.突然死のリスクを伴う力学的衝突を取り除くことができる。 3. 終糸システム®適用での終糸切断手術(1500名以上の患者さんに適用)における後遺症および死亡率は0%。 4. 身体への負担が少ない低侵襲治療のため、手術時間は約45分、短期入院、局所麻酔、術後の制限なし。 5. 症状の改善と頭蓋底陥入症の進行を阻止することができる。 6. 頭蓋底陥入症に関連した小脳扁桃の圧迫によって起こる水頭症を回避できる。 7. 全神経系の血液循環が改善され、認知機能の改善につながる。 デメリット 1. 仙骨部の小さい切開と、その切開部の血腫と感染症の恐れ。 […]
扁平頭蓋底

最終更新日: 31/01/2019, ミゲル・ロヨ医師, 登録番号: 10389. 脳神経外科医、神経内科医 定義 頭底角またはBoogaard角が開き、頭蓋底が平坦になる骨の異常のことを扁平頭蓋底と言います。正常角は115度から140度とされ、140度を超えた場合、扁平頭蓋底と診断されます。他の基準角度、例えばBull角(通常13度)などでも診断が可能です。多くの場合、扁平頭蓋底は頭蓋底陥入症を合併しますが、扁平頭蓋底のみの場合もあります。また、扁平頭蓋底はなく頭蓋底陥入症のみの場合もあります。 症状 扁平頭蓋底のみでは無症状ですが、頭蓋底陥入症や例えばアーノルド・キアリI型症候群などを伴う場合には症状が見られます。 原因 – 従来の見解 扁平頭蓋底の原因はまだ解明されていません。 – 当研究所の治療計画「終糸システム®」による見解 当研究所のロヨ脳神経外科医の見解によると、脊髄と脊柱内の中枢神経系との間に先天性の非同期の成長が起こり、扁平頭蓋底が起こっていると考えられています。終糸による仙部から頭蓋部にかけての異常な脊髄牽引が、頭蓋底の角度に異常をもたらし、扁平頭蓋底を引き起こします。 終糸病 ロヨ医師の研究を基に発表された博士論文(1992)の結果、アーノルド・キアリI型症候群、脊髄空洞症、脊柱側弯症、扁平頭蓋底、頭蓋底陥入症、歯突起後屈、脳幹のよじれなどの原因不明と考えられていたものが、終糸病という脊髄と全神経に対する牽引から起こっていることが明らかになりました。 終糸病において、全神経系にかかる牽引はすべてのヒト胚で起こっており、程度の差はあっても影響を与えており、その程度や形は様々です。椎間板ヘルニア、脳小血管病、椎間関節症、バーストラップ病、線維筋痛症、慢性疲労、夜尿症、尿失禁、下半身の筋力低下などの原因も終糸病に付随しています。 終糸病の正確な診断、治療、術後の経過観察などを明確にするため、独自の治療計画「終糸システム®」を立案しました。 頭部のCT検査 通常、扁平頭蓋底の診断には頭部のCT検査が行われます。脳部または頭部のMRI検査でも扁平頭蓋底の診断はできますが、一度診断名がついてからはCT検査を通して経過観察が行われます。 図1. CT検査上での扁平頭蓋底 図2. MRI検査上での扁平頭蓋底 リスク要因 扁平頭蓋底は先天性の奇形で、生まれつきのものです。 合併症 扁平頭蓋底自体が合併症をもたらす例は確認されていませんが、頭蓋底陥入症を合併した場合には、合併症を伴うことがあります。 治療法 扁平頭蓋底のみの診断では、通常治療は提示されませんが、扁平頭蓋底のほかに頭蓋頸椎移行部の奇形を合併している場合には、一般的に大変複雑で身体に負担のかかる外科治療が行われます。治療の合併症による罹患率と死亡率も高くなるほか、これにさらに病気自体の合併症が加わります。 例えば、扁平頭蓋底がアーノルド・キアリI型症候群を合併している場合は、大後頭孔減圧術が行われ、扁平頭蓋底のほかに頭蓋底陥入症が見られる場合は 歯突起切除術が行われます。 一方、当研究所のロヨ医師が発表した博士論文によって、扁平頭蓋底などの原因が、脊髄の末端にある終糸が全神経系を下に引っ張っているためだと明らかになったことで、1993年から外科治療によって終糸を切断し病気の原因を取り除く、終糸切断手術という新しい治療法が生み出されました。 扁平頭蓋底が、頭蓋底陥入症やアーノルド・キアリI型症候群などの脊髄牽引が原因となって起こっている病気を合併している場合、当研究所独自の治療計画「終糸システム®」に従って、終糸切断手術を受けることを提案しています。 終糸システム®適用での終糸切断手術 メリット 1. 扁平頭蓋底の原因を取り除くことができる。 2. 身体への負担が少ない低侵襲治療のため、手術時間は約45分、短期入院、局所麻酔、術後の制限なし。集中治療室(ICU)への入院なし。輸血なし。 3. 終糸システム®適用での終糸切断手術(1500名以上の患者さんに適用)における後遺症および死亡率は0%。 4. 症状の改善と扁平頭蓋底に関連する病気の進行を阻止することができる。 終糸切断手術によって、終糸がもたらしていた脊髄全体への緊張状態を取り除き、脊柱の弯曲を助長していた圧力も取り除くことができます。 参考文献 Dr. Miguel B. Royo Salvador (1996), […]
椎間板ヘルニア

最終更新日: 09/10/2018, ミゲル・ロヨ医師, 登録番号: 10389. 脳神経外科医、神経内科医 脊髄牽引によって椎間板への圧力が増加することによって、たとえ少しの負荷がかかっただけでも椎間板(繊維輪)に亀裂が生じやすくなります。よって、脊髄牽引によって生じる神経頭蓋脊柱症候群、終糸病において椎間板ヘルニアは頻繁に確認されます。 通常、終糸病や神経頭蓋脊柱症候群と椎間板ヘルニアを併発する患者さんに対する治療は終糸切断手術のみで、終糸切断手術後に椎間板ヘルニアの経過観察を行い、症状の持続または悪化が見られた場合には、ヘルニア摘出術を行います(一方、終糸切断手術前にすでに椎間板ヘルニアによる激しい痛みや神経学的欠損が確認できる場合には、終糸切断手術に加えヘルニア摘出術も提案しています)。終糸切断手術を適用後、椎間板ヘルニアの経過観察を行うようになった背景には、過去に終糸切断手術を行って脊髄牽引を取り除けたことで症状が改善し、術後の検査画像から椎間板ヘルニアの改善が見られたためです。 椎間板ヘルニアの手術法に関しては、腰椎椎間板ヘルニアで最も使われている手術法は、部分椎弓切除による腰椎除圧術です。胸椎椎間板ヘルニアでは、胸椎後方除圧術、頸椎椎間板ヘルニアの治療では、自骨または椎体間ケージを挿入して頸椎前方除圧術が行われます。 頸椎椎間板ヘルニア、胸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアそれぞれの解説は以下のページをご覧ください。 頸椎椎間板ヘルニア 胸椎椎間板ヘルニア 腰椎椎間板ヘルニア
椎間関節症候群

最終更新日: 12/05/2025, ミゲル・ロヨ医師, 登録番号: 10389. 脳神経外科医、神経内科医 定義 脊柱は7個の頸椎、12個の胸椎、5個の腰椎、5個の仙椎、4個または5個の尾椎で構成されます。仙椎および尾椎は、それぞれ癒合して一つの骨を形成していますが、第1頸椎と第2頸椎を除くその他の椎骨は、椎間板、椎間関節、靭帯によって連結されています。これらの連結によって人間は体を曲げたり、伸ばしたり、ひねったりすることが可能になります。 椎骨は前方の椎体と後方の椎弓から構成され、椎骨と椎骨の間には椎間板があります。脊椎の後方、左右にある椎間関節と呼ばれる関節によって連結しており、椎間板の高さによって快適さが決まります。 椎間関節は線維性被膜、滑膜、硝子軟骨、骨で構成されており、椎間関節は脊髄神経後枝の内側部分によって神経支配されており、それぞれが隣接する上部、下部、対側から二重の神経支配を受けています。 椎間板の高さが減少すると、椎骨間に生じる摩擦と制限によって関節軟骨が過度に劣化し、関節包の伸長または分離が生じる可能性があり、これにより関節が刺激され、椎間関節症候群が引き起こされます。 症状 椎間関節が圧縮されすり減ると、椎間関節症候群の症状として、頸部痛、背部痛、または腰痛などが現れます。影響を受けた関節面によって痛みが片側なのか両側なのかが決まります。 痛みは特に腰部に集中しますが、臀部、鼠径部、大腿後面へと痛みが広がり、腰痛を引き起こすこともあります。また、その痛みが下肢および上肢にも広がることもあり、頸部と胸部も同様に、痛みが上肢と胸部および腹部に広がります。 その他の症状として、脚や腕の感覚消失があります。椎間関節に炎症が起こると、硬直、直立、椅子からの立ち上がりが困難になる可能性があります。 運動や重いものを運ぶなどすると痛みが増大するのが一般的であり、また患者が長時間立った姿勢を続けたり、体をひねる、曲げる、反らすなどの動きをすると痛みが悪化します。一方で、横になったり、前屈運動をすると痛みが改善する場合があります。 診断 患者が安静時であっても首、肩、腕の痛み、または背部痛や坐骨神経痛、その他の特徴的な症状があり、神経学的検査やその他の検査で陰性、およびMRI検査、CT検査、筋電図などで異常が確認できない場合、椎間関節症候群が疑われます。 診断のために浸潤ブロックが行われ、この検査は患者が定期的に痛みを訴える場合、透視装置を用いて痛みの原因と考えられる椎間関節の神経付近に局所麻酔を行います。浸潤ブロックで痛みが改善する場合、椎間関節症候群と診断されます。 原因 腰椎椎間関節症候群は主に、椎間関節で時間の経過とともに生じる変形性関節症、軟骨変性などの椎骨関節および関節組織の変性によって引き起こされます。 同様に、椎間関節症候群は椎間板ヘルニアの有無にかかわらず、椎間腔の崩壊、閉塞、運動制限などの機能的な関節の変化が原因である可能性があります。椎間板ヘルニアや椎間板突出、嚢胞などの他の疾患によって引き起こされる場合もあります。 リスク要因 腰椎椎間関節症候群のリスク要因になる可能性があるのは以下の通りです。 時間の経過とともに椎間関節の変性をもたらす運動や姿勢。 年齢:年齢が上がるにつれて、椎間関節がすり減るリスクが増加。 他の疾患:椎間関節症候群の直接の原因ではない場合でも、脊柱や脊髄の他の疾患が関節に通常より多くのすり減りをもたらすことにより、リスクが増加する可能性があります 合併症 腰椎椎間関節症候群は、主に症状の持続によって病状が悪化し、治療をしないことによって症状が慢性化すると、患者の生活の質に影響を与える可能性があります。 治療法 椎間関節症候群に対する主な治療法は以下の通りです。 – 保存療法:脊椎の椎間関節の配列異常の改善や、筋力の柔軟性と強化のための理学療法などが行われます。理学療法が十分でない場合、抗炎症薬またはステロイド薬が投与されます。 – 保存療法で効果が得られず、適用対象な症例にのみ、影響を受けた関節にステロイドと麻酔薬の浸潤ブロックが行われます。 -椎間関節症候群の痛みを消すためには、椎間関節の神経を損傷させ、痛みの伝達を排除することが必要で、いくつかの方法があり、例えばラジオ波という高周波数で発生する熱で椎間関節の知覚神経を焼灼する神経切離術があります。 – 当研究所の治療計画「終糸システム®」による見解 椎間関節症候群は、終糸病患者に頻繁に確認できます。終糸病を引き起こす終糸の牽引が、椎間関節にも影響を及ぼし、関節に過負荷をかけ、変形性関節症が発症される可能性が高くなります。このため、当研究所では椎間関節症候群の治療を行う前に、独自の治療計画「終糸システム®」によって終糸病であるかを判断し、椎間関節症候群の治療の前に必要な治療法を提案します。当研究所では精度と安全性を考慮して、高周波電気凝固術を行い、優れた成果を挙げています。 参考文献 A.C. Gellhorn, J.N. Katz, P. Suri Osteoarthritis of the spine: the facet joints. Nat Rev […]
腰部脊柱管狭窄症

最終更新日: 09/10/2018, ミゲル・ロヨ医師, 登録番号: 10389. 脳神経外科医、神経内科医 脊椎にある脊柱管という神経を囲んでいる管が狭くなり、神経組織が圧迫されて症状が出現する病気です。もっとも一般的なケースは変形性関節症が原因となって発症するものです。変形性関節症は、関節や関節表面、靭帯の退行変性によって生じる疾患で、人体がそれを修復しようと過度に働き、他の構造圧縮を起こします。 これは、椎間孔から出る神経根や脊柱管内の脊髄にも影響を与える恐れがあります。 その2つのケースの場合は椎間孔や脊柱管の解放を目的とした手術になりますが、脊椎の摘出手術が必要でない限り、一般的にねじやプレートで固定する関節固定術は必要ありません。 その2つのケースの場合は椎間孔や脊柱管の解放を目的とした手術になりますが、脊椎の摘出手術が必要でない限り、一般的にはねじやプレートで固定する関節固定術は必要ありません。
椎骨脱臼

最終更新日: 09/10/2018, ミゲル・ロヨ医師, 登録番号: 10389. 脳神経外科医、神経内科医 椎骨脱臼とは、骨と骨をつなぐ関節がはずれ、正しい位置関係を失っている状態を指します。ほとんどの場合で、関節固定術が行われます。 サッカー練習中に負傷した16歳の患者さんは、第2頸椎・第3頸椎の脱臼を起こしました。図1は側面のX線画像で、異常は見られません。図2で矢印の示しているところが脱臼部分です。図3では、第2頸椎・第3頸椎間を2本のねじで固定したチタンが写っています。関節固定術の前に損傷した椎間板を取り除き、ハイドロキシアパタイト移植を行います。 図1 図2 図3 図4