2026年 世界脳の日:終糸病が脳の健康に及ぼす影響

Journée mondiale du cerveau

毎年7月22日は、世界脳の日に制定されており、世界神経学連合が2014年から推進している取り組みです。その目的は、脳の重要性、その機能、脳の健康に影響を及ぼす要因、そして正常な機能を損なう可能性のある神経疾患についての認識を高めることにあります。 当研究所は主に、アーノルド・キアリI型症候群、特発性脊髄空洞症、特発性側弯症など、脳幹・脊髄・脊柱に関連する疾患の研究と治療に取り組んでおりますが、この世界脳の日に際し、上記疾患の共通原因である終糸病が、脳を含む中枢神経系全体に影響を及ぼす可能性があることを強調したいと思います。 終糸病は脳にどのような影響を及ぼしますか。 終糸が神経系に異常な牽引力を及ぼすことにより、脳の構造や機能に変化が生じる可能性があります。その結果、終糸病と診断された多くの患者さんには、脳領域に起因すると考えられる神経症状が認められます。 アーノルド・キアリI型患者にみられる頭痛と片頭痛 小脳扁桃下垂を伴うアーノルド・キアリI型症候群の患者さんに最もよくみられる症状は、頭痛です。 主な特徴は次のとおりです。 後頭部、後頭頸部、または前頭部の痛み 吐き気や嘔吐を伴う片頭痛 神経学的前兆の有無はさまざま また、頭痛には以下の症状を伴うことがあります。 眼窩後部痛 羞明(光に対する過敏症) 音過敏(騒音に対する過敏症) かすみ目 耳鳴り 難聴 言語障害(言葉が出にくい、発音しにくいなど) 頭痛の程度は軽度から日常生活に支障をきたす重度までさまざまで、持続時間も数時間から2~3日間に及ぶことがあります。薬物療法で改善する場合もありますが、一般的な治療薬に反応しにくい症例も存在します。 発症頻度も個人差があり、月1回程度から毎週、あるいは2週間ごとに起こることがあります。 終糸病に関連する睡眠障害 終糸病の患者さんに、生活の質に大きな影響を及ぼす睡眠障害がみられることがあります。代表的なものは以下のとおりです。 入眠困難 中途覚醒 睡眠時無呼吸 過眠症(比較的少数) 質の高い睡眠は、脳の健康維持と認知機能の正常な働きに不可欠な要素です。 メンタルヘルス・記憶・認知機能 さまざまな研究や臨床経験から、終糸病、とくにアーノルド・キアリI型症候群を伴う場合には、神経心理学的機能にも影響を及ぼす可能性が示唆されています。 報告されている症状には以下が含まれます。 気分障害 認知機能障害 注意力・集中力の低下 記憶障害(特に前向性健忘) 言語障害 これらの症状は、患者さんの日常生活や自立した生活能力に大きな影響を及ぼすことがあります。 終糸病に関連する頭蓋頸椎移行部病変 頭蓋底および頭蓋頸椎移行部には、アーノルド・キアリI型症候群にしばしば合併するさまざまな解剖学的異常が認められます。これらは、発育過程において終糸による力学的牽引が加わることによる終糸病の現れである可能性があります。 代表的な病変は以下のとおりです。 頭蓋底陥入症 扁平頭蓋底 歯突起後屈 上記病変は神経症状の発症に関与する可能性があり、専門医による適切な評価が必要です。 脳の健康を守ることの重要性 人間の脳は、身体の中で最も複雑な器官であり、中枢神経系の中核を担っています。脳内に存在する数百億個もの神経細胞は、運動、記憶、言語、感情、学習、さらには生命維持に不可欠な臓器の働きまで、さまざまな重要な機能を調節しています。 そのため、脳の健康を維持することは、あらゆる年齢において非常に重要です。 脳を守るためには、次のような生活習慣が推奨されています。 定期的に運動を行う。 栄養バランスの良い食事を心がける。 知的活動を積極的に行い、脳を刺激する。 十分な睡眠時間を確保する。 ストレスをできるだけ軽減する。 神経症状がみられる場合には、定期的に医療機関で診察を受ける。 早期診断と専門医療の重要性 持続する頭痛、睡眠障害、認知機能の低下、言語障害、その他の神経症状が現れた場合には、正確な診断を受け、それぞれの患者に最適な治療方針を決定するため、専門医を受診することが推奨されます。 原因を早期に特定することで、患者さん一人ひとりに合わせた治療法を提示することが可能となり、生活の質の向上につながります。 […]

キアリ奇形I型、特発性脊髄空洞症、終糸病を有する女性患者における妊娠・分娩・麻酔

Pregnancy and childbirth in Arnold-Chiari I

終糸病、アーノルド・キアリ奇形I型、および特発性脊髄空洞症と診断された女性患者からは、妊娠、分娩、ならびに妊娠・分娩期に選択可能な麻酔法について、多くの相談が寄せられます。 これらの疾患は、妊娠中に生じ得るリスク、最も安全な分娩方法、さらに適切な麻酔法の選択に関して、患者本人だけでなく医療従事者にとっても大きな懸念事項となることがあります。 アーノルド・キアリ奇形I型、特発性脊髄空洞症、終糸病患者における妊娠 一般的に、これらの疾患を有する患者では、妊娠前に十分な医学的評価を受け、脳神経外科的治療の適応があるかどうかを検討することが推奨されます。 妊娠中は、産婦人科医、麻酔科医、脳神経外科医、および神経内科医による多職種連携のもとで経過を観察し、母体と胎児の双方にとって最適な個別管理計画を策定することが重要です。 産科的観点からは、分娩方法や麻酔法について、すべての患者に共通して適用できる単一の推奨は存在しません。それぞれの症例について、臨床症状、脳神経外科的既往、画像所見、および脊髄・頭蓋頸椎移行部の解剖学的特徴を総合的に評価したうえで、個別に判断する必要があります。 妊娠中および分娩時における神経学的リスク アーノルド・キアリ奇形I型については、一部の研究者が次のように述べています。 「妊娠および分娩時に生じる生理学的変化、陣痛に伴う疼痛、ならびに血行動態の変動は、とくに併存疾患を有する患者において、頭蓋内圧に影響を及ぼす可能性がある。」 一方、終糸病およびこれに関連する疾患では、脊髄形成異常に伴う病態であることから、次のように指摘されています。 「胚発生期における脊椎形成異常に起因する病態では、脊髄円錐が通常より低位に位置していることがあり、その結果、神経軸麻酔(脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔)の施行時に脊髄損傷のリスクが高まる可能性がある。」 この点は、経腟分娩および帝王切開時に神経軸麻酔を選択する際の重要な検討事項となります。 終糸病患者における硬膜外麻酔および脊髄くも膜下麻酔(脊椎麻酔) 終糸病およびこれに関連する疾患は、妊婦を担当する麻酔科医にとって臨床上の課題となることがあります。その理由として、これらの疾患は産科診療において比較的まれであり、十分な経験を有する医療機関が限られていることが挙げられます。 複数の研究者は、次のように述べています。 「これらの疾患は、分娩を担当する麻酔科医にとって課題となる。産科領域では発生頻度が低く、十分な臨床経験が得られる機会が限られているためである。」 このため、産婦人科医は、患者の診療に携わる神経内科医および脳神経外科医と密接に連携し、包括的かつ安全な周産期医療を提供することが望まれます。 アーノルド・キアリ奇形I型女性>患者における帝王切開と経腟分娩 分娩方法については、一部の研究において次のように報告されています。 「アーノルド・キアリ奇形I型と診断され、外科的治療を受けていない患者では、予定帝王切開が選択されることが多い。」 一方、当研究所の医療チームの経験では、終糸病、特にアーノルド・キアリ奇形I型および特発性脊髄空洞症を合併し、当研究所の終糸システム®による手術を受けた患者では、神経軸麻酔(硬膜外麻酔または脊髄くも膜下麻酔)を施行する前に、脊髄円錐の位置を画像検査などにより慎重に評価することが推奨されます。 その目的は、穿刺部位を脊髄円錐より尾側に設定することにより、脊髄損傷、脳脊髄液漏、その他の麻酔関連合併症のリスクを低減することにあります。 妊娠・分娩に関する医学的推奨事項 妊娠および分娩の管理は、一人ひとりの病態に応じて個別に評価されるべきです。そのため、これらの疾患を有する妊婦には、以下の事項が推奨されます。 担当するすべての専門医に相談すること。 産婦人科医、麻酔科医、神経内科医、脳神経外科医の間で十分な情報共有と連携を図ること。 これまでの脳神経外科手術歴および現在の神経学的状態について詳しく伝えること。 必要に応じて、最新のMRIなどの画像検査結果を提示すること。 このような多職種連携による周産期管理を行うことで、母体および胎児双方にとって、より安全性の高い妊娠・分娩計画を立案することが期待されます。 参考文献 Neuraxial anaesthesia for the parturient with intracranial pathology. C. Warrick, W. Schievink and M. Zakowski. BJA Education, 25(1): 38–45 (2025). Pregnancy complicated by neurological and […]

2026年 国際脊柱側弯症啓発デー:特発性脊柱側弯症の理解と診断および治 療法

脊柱側弯症

2026年6月25日 国際脊柱側弯症啓発デー 6月25日は「国際脊柱側弯症啓発デー」です。この日は、脊柱側弯症について の認識を高め、早期診断を促進し、この疾患とともに生活する人々への理解を 深めることを目的としています。 脊柱側弯症は、背骨が側方へ弯曲することを特徴とする筋骨格系の疾患です。 その原因、発症年齢、または脊柱のどの部位に生じるかによって、さまざまな 種類に分類されます。原因が特定できない場合、「特発性脊柱側弯症」と呼ば れます。 世界的にみて、思春期特発性脊柱側弯症は、成長期に診断される脊柱側弯症の 大部分を占めています。 特発性脊柱側弯症と終糸病の関連性 40年以上にわたる臨床経験に基づき、当研究所の脳神経外科チームは、多くの 特発性脊柱側弯症の発症および進行において、終糸病が重要な役割を果たして いると考えています。ただし、他の関連因子の影響を否定するものではありま せん。 ミゲル=B・ロヨ=サルバドール(Dr. Miguel B. Royo Salvador) 医師によって提唱 された脊髄牽引理論によると、特発性脊柱側弯症は、緊張した終糸によって生 じる脊髄の牽引に対して、脊柱が適応または代償する結果として発生するとさ れています。この異常は通常、一般的な画像検査などでは検出できないとされ ています。 脊柱側弯症の進行に関連するリスク要因 以下の要因が、脊柱側弯症の発症または進行に影響を与える可能性があります。 終糸病および関連疾患の家族歴 小児期および思春期 女性であること 30〜40度を超える側弯角度(特に重力による変形の影響が加わる場合) 外傷や成長過程に関連して脊髄牽引が急激に増加すること 脊柱側弯症が生活の質(QOL)に及ぼす影響 国際脊柱側弯症啓発デーに際して、脊柱側弯症が患者の生活の質に大きな影響 を及ぼす可能性があることも忘れてはなりません。 脊柱の変形だけでなく、患者さんの多くは以下のような問題を抱えることがあ ります。 セルフイメージや自己肯定感の低下 持続的または慢性的な痛み 身体機能の制限 コルセットやその他の装具を長期間使用する大変さ 思春期における精神的・心理的な負担 これらの要因はすべて、患者さんが治療に対して抱く期待や、治療結果に対す る評価に影響を与えます。 脊柱側弯症の診断と脊髄牽引の検出 最適な治療法を決定するためには、正確な診断が不可欠です。 評価には通常、以下の検査が含まれます。 立位での正面および側面の全脊柱X線検査 脊柱のMRI検査 専門医による臨床評価 これらの検査により、脊髄牽引の可能性を示す徴候を確認し、終糸病が認めら れる脊柱変形と関連しているかどうかを評価します。 終糸システム®による脊柱側弯症の治療 脊柱側弯症患者において脊髄牽引と一致する所見が確認された場合、当研究所 の専門医は終糸システム […]

アーノルド・キアリI型症候群において不安や抑うつ症状はよくみられるものか。

アーノルド・キアリI型症候群において、不安や抑うつ症状は比較的よくみられるとされています。実際、不安やうつ患者に認められることを示す科学的報告も存在します。ただし、これらは小脳扁桃下垂そのものによる直接的な症状と考えられているわけではありません。一方で、患者群では不安や抑うつの発症頻度が比較的多いことが報告されています。 アーノルド・キアリI型症候群と情緒障害の関係 多くの研究者は、生理学的・運動機能的・認知機能的側面に加え、アーノルド・キアリI型症候群に伴う臨床的状況、たとえば、診断に対する不確実性、治療開始までの遅れ、疾患への理解不足などが、反応性の不安症状や抑うつ状態を引き起こしやすくすると考えています。こうした心理的反応は、しばしば「自分の身体や生活を思うようにコントロールできない」という感覚や、病状の慢性化と関連しています。 臨床現場では、不安発作や抑うつ状態は比較的多くの患者に認められます。これらはキアリ奇形そのものというよりも、以下のような関連要因によるものと考えられています。 慢性疼痛 機能制限 日常生活および就労への影響 病気の進行に対する不確実性 終糸病と神経心理学的障害 終糸病の原因論的枠組みにおいて、脳神経外科チームでは、小脳扁桃下垂や脊髄空洞症の有無にかかわらず、患者にさまざまな心理学的・神経心理学的変化がみられることを確認しています。これらの変化は、多様な症状パターンとして現れる可能性があります。 主に影響を受ける領域 認知能力(注意力、情報処理機能、記憶力など) 気分・情緒面 性機能 これらの神経心理学的障害は、特に慢性疼痛を伴う場合、生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、認知処理と疼痛知覚の間には双方向性の関係が存在すると考えられており、それによって症状の慢性化や、不安・抑うつとの関連がさらに強まる可能性が指摘されています。 慢性疾患による心理的影響 アーノルド・キアリI型症候群や終糸病は、慢性的かつ進行性となる可能性があるため、患者の不安を高めやすい疾患とされています。病状悪化への恐れや将来への見通しの不透明さは、感情面や心理的適応に悪循環をもたらすことがあり、結果として不安や抑うつ症状の憎悪につながる場合があります。 包括的評価の重要性 当研究所では、以下の場面において神経心理学的側面を含めた総合的評価が重要であると考えています。 終糸病/神経頭蓋脊柱症候群の診断 初期段階における予後評価 術後の治療効果判定 術後フォローアップ これらの要素を十分に評価しない場合、治療結果の解釈や、実際の治療効果の評価に悪影響を及ぼす可能性があります。 参考文献 Fernández Martín, P. Evaluación e intervención psicológica en un caso de trastorno adaptativo mixto en una mujer con Arnold–Chiari tipo I. Norte de Salud Mental. 2008;31:99–104. Suhr, J. A. (2003). Neuropsychological […]

線維筋痛症・慢性疲労症候群 世界啓発デー(5月12日) 病気の症状と原因、そして革新的な治療法

線維筋痛症・慢性疲労症候群の症状や終糸病との関連性、そして革新的な治療法についてご紹介します。 線維筋痛症と慢性疲労症候群への理解を深めるために 毎年5月12日は、線維筋痛症および慢性疲労症候群の世界啓発デーとされており、これらの疾患を社会に広く知ってもらい、診断や治療の向上を目指す大切な日です。 線維筋痛症と慢性疲労症候群はともに中枢神経感作症候群と呼ばれ、慢性的な痛みを特徴とし、患者さんの生活の質に大きな影響を与える病態です。 線維筋痛症とは? 線維筋痛症の症状の特徴は、 全身の慢性的な骨格筋系の疼痛 こわばり感 強い疲労感や疲れやすさ 他にも、 腹痛 頭痛 動悸 月経困難症 呼吸困難 睡眠障害 気分の落ち込み、抑うつ症状 健忘、注意力低下、集中力低下 などの症状が見られます。 慢性疲労症候群とは? 慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎の症状の特徴は、 激しい疲労感や強い消耗感 労作後の24時間以上続く体調不良 原因不明の筋肉痛や関節痛 他にも、 頭痛 健忘 睡眠障害、寝ても疲れが取れない めまい 咽頭痛 リンパ節の腫脹 などの症状が見られます。 他の神経疾患との関連 臨床の現場では、線維筋痛症や慢性疲労症候群と診断された多くの患者さんが、以下の疾患と類似した症状を示すことがよくあります。 アーノルド・キアリⅠ型症候群 特発性脊髄空洞症 特発性側弯症 終糸病 神経頭蓋脊柱症候群 実際には、同一の患者さんが診断過程のある段階で、これら複数の診断を受けていることも少なくありません。 新たな研究の方向性:終糸病の役割 近年、さまざまな研究により、線維筋痛症・慢性疲労症候群と終糸病に見られる、脊髄の異常な牽引という共通のメガニズムとの関連性が研究されています。ソウルで開催された第27回世界神経学会議でロヨ・サルバドール医師らによって、発表された研究では、次の点が示唆されています。 線維筋痛症と終糸病は密接に関連している可能性がある。 臨床症状および放射線学的所見を共有している。 終糸切断手術を受けた患者さんで、術後に顕著な改善が見られる。 一方、慢性疲労症候群との関連については、現在のところまだ仮設の段階であり、更なる研究が必要とされています。 現在の治療の選択肢 中枢神経感作症候群へのアプローチは、多分野にわたるものであり、以下の専門分野が連携して治療にあたっています。 内科 リウマチ科 リハビリテーション科と理学療法 心理学 栄養学 しかしながら、終糸病に関連している場合、症例によっては神経外科的な視点が新たな治療の選択肢をもたらす可能性があります。 生活の質を向上させるための統合的アプローチ […]

アーノルド・キアリI型症候群、脊髄空洞症、脊柱側弯症における終糸病®に関するオンラインQ&Aセッション(2026年)

主催:キアリ&脊柱側弯症&脊髄空洞症基金 協力:バルセロナキアリ奇形&脊髄空洞症&脊柱側弯症研究所 2025年に開催されたオンラインQ&Aセッションの成功を受けて、当研究所の脳神経外科医であり研究者でもあるホリア・サルカ医師が、患者さんおよびご家族を対象に新たなオンラインQ&Aセッションを開催いたします。 本セッションでは、終糸病の病因的観点から以下の疾患について詳しく解説します。 アーノルド・キアリI型症候群(キアリ奇形I型) 特発性脊髄空洞症 特発性脊柱側弯症 その他の関連疾患 専門医に直接質問できる貴重な機会であり、当研究所が開発した低侵襲治療について学べるだけでなく、実際に手術を受けられた患者さんの体験談を聞くこともできます。 対象者 キアリ奇形、脊髄空洞症、脊柱側弯症と診断された患者さんとそのご家族、また当研究所の治療法に関心をお持ちのすべての方。 参加申し込み ご希望の言語の登録フォームよりお申し込みください。 事前にご質問をお送りいただくことも可能です。 日時 英語によるQ&Aセッション : 2026年5月21日(木曜日)日本時間22:00 登録フォーム フランス語によるQ&Aセッション: 2026年6月4日(木曜日)日本時間22:00 登録フォーム   定員:各セッション15名まで 登録フォームよりお申し込みください。 皆様のご参加を心よりお待ちしております。

アーノルド・キアリI型症候群:症状を悪化させる要因と予防法

malformacion de chiari I

アーノルド・キアリ症候群I型は、患者さんの生活の質に大きな影響を与える可能性があります。無症状のまま経過する場合もありますが、多くの患者さんで何らかの症状が現れます。特に、特定のリスク要因を十分に認識し、適切にコントロールしない場合、症状が悪化することがあります。 ここでは、アーノルド・キアリ症候群I型の症状を悪化させる可能性のある要因と、治療の前後に実践できる予防策について解説します。 アーノルド・キアリ症候群I型とは アーノルド・キアリ症候群I型は、小脳扁桃が大後頭孔を通って脊柱管に下垂するのが特徴です。 患者さんの中には、終糸の異常な緊張状態によって起こる脊髄の異常牽引となって生じることがあり、これが「終糸病」と呼ばれています。 よくある症状 症状の強さや現れ方には個人差がありますが、一般的には以下のようなものがみられます。 頭痛(片頭痛を含む) 首や背中の痛み めまい 平衡感覚の異常 視覚や聴覚の異常 しびれや感覚消失 疲労や不眠 認知機能や記憶力の低下 症状の現れ方は患者さんによって異なるため、専門医による適切な評価と診断が重要です。 症状を悪化させる要因 症状マネジメントにおいて重要なのは、どのような状況で症状が悪化するかを把握することです。主な要因として、以下が挙げられます。 激しい身体活動:重い物を持つ、急な動作、長時間の運動 精神的負荷:集中力を要する作業や長時間の知的活動 ストレス:心理的負担や強いストレス状態 外傷:頭部や首への打撲(交通事故やアトラクションによる軽い衝撃も含む) 不適切な治療:頸椎牽引など、患者さんによっては禁忌となる治療 衝撃を与えるスポーツ:サッカー、パデル、ランニング、クロスフィット、ウェイトリフティングなど   症状の悪化を防ぐ方法 日常生活での工夫は、症状の進行を抑え、生活の質を維持するうえで非常に重要です。主なポイントは以下のとおりです。 過度な身体活動や長時間の知的作業を避ける。 ストレスを適切に管理、軽減する。 衝撃を伴うスポーツを控える。 運動療法を開始する際は、必ず専門医に相談する。 バランスの取れた生活習慣を維持する。   治療前後のポイント 治療を開始する前には、症状を悪化させる要因を可能な限り避けることが重要です。 終糸システム®による治療後、多くの患者さんで症状の改善が認められますが、以下の点に注意が必要です。 症状が一時的に変動し、再発することがある。 再発した場合でも、多くは軽度で一過性。 適切な対応や治療により、再び改善が期待できる。 治療後も、再発時に適切な対応を行うことで、病状の安定やさらなる改善につながることが多くあります。 患者さんの体験談 他の患者さんの体験談を読むことで、疾患や治療の選択肢について、より深く理解することができます。 患者さんの体験談をご覧になりたい方は、こちらをご参照ください。 https://institutchiaribcn.com/jp/アーノルドキアリ奇形患者の終糸切断手術の体験/ 専門家に相談すべき場合 以下のような状況がある場合は、専門家への相談が推奨されます。 症状が新たに現れた場合 症状が悪化した場合 過去に診断を受けたものの、その後の経過観察を行っていない場合 正確な診断と個々の状態に応じた治療は、症状の進行を抑え、生活の質を大きく改善する可能性があります。

2026年 世界希少・難治性疾患の日

Rare disease day 2026

2026年2月28日は「世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day)」です。 2008年の設立以来、バルセロナキアリ奇形&脊髄空洞症&脊柱側弯症研究所(以下、当研究所)は、希少疾患の治療と研究に取り組んできました。これらの疾患は「希少」とされていますが、実際には世界中で何千人もの方々に影響を及ぼしており、しかもその症状は患者さん一人ひとり異なる形で現れます。 終糸病は、アーノルド・キアリI型症候群、特発性脊髄空洞症、頭蓋頸椎移行部奇形などの疾患を、ひとつの原因概念で結びつける新しい病因論です。 これらの疾患は依然として十分に周知されておらず、症状の現れ方も多様で複雑です。その結果、診断の遅れ、高額な治療費、遠方への移動負担、自立性の低下、慢性的な痛み、生活の質(QOL)の低下、そして家族や介護者の継続的な支援の必要性といった、希少疾患特有の課題に直面することになります。 当研究所の創設者である ロヨ・サルバドール 医師の研究によれば、これらの疾患には「終糸」と呼ばれる組織の異常な牽引力が関与しており、それが神経系全体に持続的な緊張を与え、病態を引き起こすとされています。 当研究所では、「終糸システム®」と呼ばれる治療計画に基づき、この原因に直接アプローチする外科的治療を提供しています。身体への負担を最小限に抑えた手術に加え、リハビリテーション、長期的な経過観察、疼痛管理を組み合わせることで、病気の進行を止め、機能の回復や可逆的病変の改善を目指しています。 私たちは、患者さん一人ひとりの「一意性」を尊重し、それぞれが本来望んでいた人生を再び歩める可能性を支えることを使命としています。 世界希少・難治性疾患の日のシンボルは、黒と白のユニークなストライプ柄のシマウマです。そのしま模様が一頭ごとに異なるように、患者さん一人ひとりもまた、唯一無二の存在です。 本日は、ソーシャルメディアで呼びかけている「#ShowYourStripes」の一環として、多くの症例の“しま模様”をご紹介します。当研究所の専門医が診療・治療を行ってきた患者さんが、回復という同じ結論に至るまでに歩んだ、それぞれ異なる道のりをご覧ください。 ぜひ、当研究所で治療を受けられた患者さんの体験談をご覧ください。 そこには、術前から術後へと続く「希少な」物語が語られています。 患者さんの体験談はこちら 患者さんの声(動画)

バルセロナキアリ奇形&脊髄空洞症&脊柱側弯症研究所 科学と希望がひとつになる場所

VIDEO CORPORATIVO

当研究所は、スペイン・バルセロナに拠点を置き、アーノルド・キアリI型症候群、特発性脊髄空洞症、特発性脊柱側弯症、線維筋痛症など、世界中で多くの方々に影響を与えている疾患の専門的治療を行う医療機関です。 当研究所では、上記疾患および終糸病に関連する疾患に対して、症状の緩和だけでなく病気の原因そのものに対する治療を重視しています。診断から治療、術後の経過観察まで一貫した医療を提供しており、国際色豊かな専門スタッフが16言語で対応し、患者さんとご家族に寄り添いながら、治療の全過程を丁寧にサポートしています。 世界各国から、当研究所独自の治療計画による外科的治療を求めて多くの患者さんが来院されています。40年以上にわたる臨床経験と、国際学術誌に掲載された研究実績、さらに患者満足度94.8%という高い評価を背景に、原因治療の分野で世界最先端の技術を提供しています。 ぜひ、当研究所の紹介動画をご覧ください。

小児・思春期における終糸病:アーノルド・キアリⅠ型症候群、特発性脊髄空洞症、特発性脊柱側弯症

終糸病は先天性の疾患であり、その発症時期や進行の仕方は患者さんによって大きく異なります。ヒトの胚発生の段階から中枢神経系や脊柱の発達に影響を及ぼし、生涯を通じて徐々に症状が進行していく場合があります。 診断 当研究所の症例から観察される終糸病によって引き起こされる病態は、以下の通りです。 ・アーノルド・キアリI 型症候群(小脳扁桃下垂):本疾患では、小脳扁桃の下垂が早期から進行することがあり、生後数か月の段階ですでに認められる場合があります。乳児に何らかの理由で MRI 検査を実施した際、偶発的に確認されることもあります。 ・特発性脊髄空洞症:脊髄空洞症は脊髄組織を徐々に損傷し、臨床症状と病変の大きさが必ずしも一致しない多様な影響を及ぼします。広範囲にわたる空洞を有していても症状が軽度な場合がある一方、わずか一椎体程度の小さな嚢胞でも、日常生活に支障をきたす複雑な症状を引き起こす場合があります。発見は、症状の出現を契機とするか、あるいは MRI 検査で偶然見つかる形が一般的です。 ・特発性脊柱側弯症:脊柱側弯症は脊柱が側方に弯曲する病態で、後弯や過前弯、さらに横断面での回旋を伴う回旋側弯など、多面的な変形を呈し得ます。幼少期から思春期にかけて徐々に進行することがあり、特に思春期のホルモン変化により悪化しやすい傾向があります。成長期の身体活動に伴う痛み、姿勢異常などから、小児科医が定期検診や受診の際に発見することがあります。 終糸病には遺伝的要素が関与する可能性があることから、患者さんのご家族、特に直系血族に対しては、小児科医と相談のうえ、終糸病の有無を確認するための精密検査を検討することが推奨されます。 治療法 終糸は、キアリ奇形、脊髄空洞症、脊柱側弯症などにおいて、中枢神経系全体へ過度な牽引力を伝える組織であり、患者さんにさまざまな可逆的・不可逆的損傷を引き起こすことがあります。 終糸システム®による治療の主な目的は、病名を正確に診断するとともに、外科的介入によって病態の進行を阻止し、その後の薬物療法や理学療法により可逆的な損傷の回復を促すことにあります。 このため、キアリ奇形、脊髄空洞症、脊柱側弯症のいずれかが確定診断された時点で、特に若年患者においては、乳幼児期からでも終糸システム®の早期適用が推奨されます。これは、成長期の患者さんの精神運動機能の制限や症状悪化を防ぎ、成長過程への影響を最小限に抑えることを目的としたものです。当研究所では、ロヨ医師率いる脳神経外科チームにより終糸切断手術を受けた 2425 名の患者のうち、0~10 歳が 4%、10~16 歳が 5% を占めており、最も若い症例では生後 4 か月で手術が実施されています。 通常、乳幼児患者に対しては、安全性を最優先し全身麻酔で手術が行われます。手術は低侵襲技術を用いて尾骨部に数センチの切開を行うもので、感染や血腫などのリスクは最小限に抑えられます。16 歳以上は成人として扱われ、禁忌がなければ局所麻酔に鎮静を併用した方法が選択されますが、最終的な麻酔方法は麻酔科医の基準やプロトコルに従って決定されます。 多くの患者さんは手術後 24 時間の入院を経て退院しますが、おむつを使用している患者さんの場合、創部の汚染を避けるため特別な管理が必要となり、入院期間が延長されることがあります。 乳幼児患者の保護者は、入院手続きから麻酔導入室、術後回復室まで、入院中のすべてのプロセスに付き添うことができます。同伴者 1 名は患者さんと同じ病室に宿泊でき、日中は複数の家族が同時に面会することも可能です。 成果 終糸システム®を未成年患者に適用した治療は 30 年以上に及び、その成果は統計的に他の年齢層と同等であり、終糸病の進行を抑制できていることが確認されています。終糸切断手術の実施により、多くの症例で症状の軽減、改善、あるいは消失が認められ、成長期の段階からの自立した生活や生活の質(QOL)の向上につながっています。 さらに術後には、身長・体重の成長曲線、認知機能、精神運動機能、場合によっては行動面など、年齢に応じた発達の回復が認められることがあります。 小児および若年患者さんのご家族による体験談は、以下のリンクからご覧いただけます。 患者さんの声(動画) また、以下のリンクから、当研究所で治療を受けたアーノルド・キアリI型症候群のお子さんを持つ保護者の方へのインタビュー動画をご覧いただけます。 https://youtu.be/p44-SyT_Kjo

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