Published by ICSEB at 2025年7月4日
症例番号:19475
診断:アーノルド・キアリ奇形I型(アーノルド・キアリI型症候群/小脳扁桃下垂)、脊髄空洞症(脊髄内嚢胞)、終糸病、神経頭蓋脊柱症候群
終糸システム®適用での終糸切断手術実施日: 2018年4月
症例番号19475の患者さんの同意を得た上で、匿名化し症例を公表します。患者さんは当時11歳の時に治療を受けられ、その後当研究所にて数回術後検診を実施。今年(2025年)の初めに術後7年検診を受けられました。
図1 症例番号19475の術前のMRI画像(2017年後半に撮影された頭部-頸部、胸部、腰仙部のMRI画像)
患者さんの術前の症状は、主に頭痛、平衡障害、めまい、全身倦怠感です。
2017年の術前MRI画像(図1)では、以下のような所見が見られました。
術後1ヶ月に行われた術後検診ではもちろん、術後1年検診(2019年)をはじめ、その後に行われた術後検診で術前にあった症状のすべてが改善し、2025年に行われた検診では、ほぼ全ての症状が消失しました。神経学的検査でもほとんどの徴候において改善が確認できました。
この症例では、図2、図3、図4に示すように、患者さんの術後の症状の改善の過程をMRI画像上でも観察することができます。
図2 症例番号19475の術後(2019年、2023年、2024年)のMRI画像の比較。小脳扁桃下垂の上昇が見られます。
図3 症例番号19475の術後(2019年、2023年、2024年)のMRI画像の比較。頸髄の空洞が減少しています。
図4 症例番号19475の術後(2019年、2023年、2024年)のMRI画像の比較。胸髄および腰髄の虚血/浮腫(脊髄空洞症になる前の段階)が減少しています。
ここでは2019年のMRI画像を比較画像として使用していますが、術前の2017年のMRI画像と変化はありません。多くの場合、画像上で改善が認められるまでに数年かかります。
手術から5年後の2023年のMRI画像では、各画像において明らかな改善が認められ、手術から7年後の2024年のMRI画像では、さらに顕著な改善が認められました。
– 小脳扁桃下垂の上昇と第四脳室の正常化(図2)
この症例において、優れた治療成績が得られたことを大変嬉しく思います。現在18歳になった患者さんは、終糸による脊髄牽引から解放され、体調の優れた毎日を送っています。
終糸システム適用®による終糸切断手術は、キアリ奇形I型および脊髄空洞症の進行を防ぎ、神経系の可逆的損傷の修復を促し、患者さんの生活の質(QOL)を向上させることができます。
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