最終更新日: 12/05/2025, ミゲル・ロヨ医師, 登録番号: 10389. 脳神経外科医、神経内科医
慢性疲労症候群または筋痛性脳脊髄炎は複雑かつ重篤な全身疾患で、多系統にわたる慢性の症状が長期間続きます。十分に休養をとっても回復しない極度の疲労感が特徴で、日常生活活動に深刻な制限をもたらし、場合によっては寝たきりの状態が続くこともあります。
また、慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎に対する新たな疾病概念として、「全身性労作不耐症」とも言われています。1984年から、慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎や線維筋痛症などを包括する「中枢性過敏症候群」という概念が生まれました。
Fig.1
慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎の症状は、活動後の24時間以上続く激しい疲労感、体調不良、症状の悪化を伴う疲れ、原因不明の関節痛や筋肉痛、頭痛のほか、注意力低下、集中力低下、健忘、睡眠障害、寝ても疲れが取れない、めまい、咽頭痛、リンパ節の腫脹などが特徴的な症状です。
慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎は今まで、診察や検査を通して似たような症状を示す他の病気を除外することで、診断が下されていました。除外診断のためには、6ヶ月以上続く極度の疲労のほかに、少なくとも上記症状の4つが当てはまることが必要です。
さらに、慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎には複数の診断基準があり、例えば1994年のフクダ診断基準、2003年のカナダ診断基準(CCC)、そして2011年には筋痛性脳脊髄炎のための国際的合意に基づく基準(ME-ICC)が発表されました。また、2018年には、中富氏によってPET(陽電子放射断層撮影)を用いて慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎患者の脳内神経炎症の存在が明らかになり、神経炎症の程度と臨床状態には関連があることがわかっています。
終糸システム®では、慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎と類似疾患である線維筋痛症に関する科学的発見、および終糸病患者で慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎と診断された症例が複数あることを考慮し、脳部と脊柱部のMRI検査の実施を提案しています。MRI検査によって、脊髄牽引というニューロイメージングレベルで目に見える異常を確認することができます。また、MRI検査のほか脳部のPET検査の実施も提案しております。
現在、慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎を引き起こす具体的な原因については解明されていません。最新の研究に関していうと、専門家の間では、先天性素因と他の要因の組み合わせによって慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎が起こっているのではないかと考えられています。慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎の原因解明のために、以下に焦点が当てられ研究が進められています。
– 当研究所の治療計画「終糸システム®」による見解
慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎と類似疾患である線維筋痛症のいくつかの例で、脊髄と脊柱内の中枢神経系との間に先天性の非同期の成長が起こっていることが確認されました。この異常が(終糸の通常より短いまたは緊張状態にあるために生み出される)仙部から頭蓋部にかけての強い脊髄牽引を生み出し、線維筋痛症を引き起こしているのではないかという最新の研究をもとに、当研究所では線維筋痛症の類似疾患である慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎においても、脊髄牽引の関連性を疑う必要があると考えています。
慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎のリスク要因は、主に以下の通りです。
主な慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎の合併症は以下の通りです。
現在のところ、慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎の根本的な治療法はなく、痛みの緩和を目的に治療が行われています。
当研究所のロヨ医師が発表した博士論文によって、脊髄の末端にある終糸が全神経系を下に引っ張っている(=脊髄牽引)ために、複数の病気が起こっていることがわかり、1993年から外科治療によって終糸を切断し病気の原因を取り除くことができる、終糸切断手術という新しい治療法が生み出されました。当研究所で行われている終糸切断手術は、身体に負担の少ない手術であり、手術適用可能とわかり次第、病気の進行を阻止するために早期治療を提案しています。
マンティア医師(Mantia)などが2015年に発表した医学論文において、理学療法実施の前に当研究所独自の治療計画「終糸システム®」適用で終糸切断手術を受けることが、線維筋痛症患者にとって有益であることが証明されました(終糸切断手術実施前に、脊髄牽引が確認され終糸病と診断されることが前提)。
この研究結果が、中枢性過敏症候群の原因究明につながるかはまだわかっていませんが、慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎患者の中で、異常な脊髄牽引が見つかっている例があるため、終糸病の徴候を確認するために必要な検査を受け、薬物治療ではなく外科治療が適用できるように提案しております。
バルセロナキアリ奇形&脊髄空洞症&脊柱側弯症研究所の独自の治療計画、終糸システム®を適用して終糸切断手術を行い、現在までに1500名以上の終糸病および神経頭蓋脊柱症候群の患者さんが治療を受けられました。手術によって病気の進行を止め、神経系にかかる牽引を取り除くことに成功し、術後の患者さんを対象に行った満足度調査では高い評価を得ています。
終糸システム®を適用して終糸切断手術を受けた後、理学療法を実施した線維筋痛症患者と、理学療法だけを受けた線維筋痛症患者を比較したところ、外科治療を受けた線維筋痛症患者のほうに、痛みの軽減や生活の質の向上など、顕著な改善が見られました。
治療を受けられた患者さんの中には、終糸病(および/または)線維筋痛症の病名のほか、慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎と診断された方が複数いらっしゃいます。
ロヨ医師の研究を基に発表された博士論文(1992)の結果、アーノルド・キアリI型症候群、脊髄空洞症、脊柱側弯症、扁平頭蓋底、頭蓋底陥入症、歯突起後屈、脳幹のよじれなどの原因不明と考えられていたものが、終糸病という脊髄と全神経に対する牽引から起こっていることが明らかになりました。
終糸病において、全神経系にかかる牽引はすべてのヒト胚で起こっており、程度の差はあっても影響を与えており、その程度や形は様々です。椎間板ヘルニア、脳小血管病、椎間関節症、バーストラップ病、線維筋痛症、慢性疲労、夜尿症、尿失禁、下半身の筋力低下などの原因も終糸病に付随しています。終糸病の正確な診断、治療、術後の経過観察などを明確にするため、独自の治療計画「終糸システム®」を立案しました。
バルセロナキアリ奇形&脊髄空洞症&脊柱側弯症研究所は、個人情報の取り扱いをEU一般データ保護規則(規則2016/679)に従って行っています。
当サイトのコンテンツは、バルセロナキアリ奇形&脊髄空洞症&脊柱側弯症研究所サイトをご覧になっている方の参考のために、スペイン語コンテンツを非公式に和訳したものです。