Published by ICSEB at 2025年7月1日
終糸システム®適用の終糸切断手術から9年後
体験談寄稿日:2025年5月
手術日:2016年3月
日本人
終糸切断手術後の頸髄および胸髄の脊髄空洞症の経過を示したMRI画像
こんにちは。
9年ほど前に終糸切断術を受けた本人で、現在23歳の社会人です。終糸切断手術前後の症状の経過について、書かせていただきます。
私の場合、手術前は時々ある片足の痺れと、平衡感覚の低下(自転車に乗れない)、目眩、右半身の感覚の鈍さ(当時は左側の方が汗をかきやすかったです)、重いものを持ったり力んだりすると少し首が痛い、という症状がありました。正直9年経っているので忘れている症状や程度の大きさなどはあると思います。平衡感覚の低下に関わっている症状か定かではありませんが、毎日のように嘔吐をしていた時期もありました。術前からこのような症状はあったものの、吐き気と眩暈による気持ち悪さ以外は日常生活に大きな困難はあまり感じておらず、運動の趣味などもなかったため、運動制限も苦には感じていない状況でした。あと側湾症もあったので左側に姿勢が傾いていました。
術後これらの症状が急激に変わるということはありませんでしたが、嘔吐は完全に無くなりました。手術直後も痛みなどなく、ケロッとしていてスペインを楽しく観光したことを覚えています。
のちの経過について書きます。運動の制限はあったので、体育の授業は卓球以外は確か見学していたと思います。ゆるく体を動かせることなどは自己判断で行なっていました。術後1、2年くらいの時に急がないといけない場面で全力ダッシュしたら目眩がしたこともありました。それからなるべくダッシュはしないようにはしていますが、現在何をしていてもめまいの症状はなく、電車に乗り遅れそうな時など普通に小走りしてます。自転車には乗っていませんが、自動車免許を取る時に原付の講習があって、フラフラしてバランスが取れず乗れなかったので自転車も乗れないと思います。上記の場面や目を閉じて片足で立ってみるとすぐにふらつくので、平衡感覚があまりないことを今も実感しますが、生活の中で実感することはほとんどないです。
痺れに関しては時々今もありますが、長年付き合ってると慣れてしまって、また痺れてるな〜くらいで困ることは現在ないです。感覚の鈍さは左右の差は変わらず多少ありますが、それも慣れてしまってなんとも思わない感じです。パソコンも打てるし、運転も普通にできて、困っていることは特にないです。左側の方が汗をかきやすかったことについて、手術後数年くらいは家族から見てもその症状が分かったようですが、今周りからそれを言われることはなく、汗のかき具合に偏りがある自覚もないので、その症状は無くなったように感じています。首については、すごく力むと少し首の筋が張るような感覚は今もありますが、当時ほど痛みはないと思います。
側湾症も術後に急激に改善はしてないですが、母に姿勢が傾いてる時に教えてもらい、意識できる時は姿勢に気をつけるようにしていて、母曰く、最近はあまり傾いていないそうです。
思い出せる症状と現在の経過はこのような感じです。長々書かせていただきましたが、総括すると術後少しずつ症状が弱まったり、症状に慣れたりしたという感じです。個人差があると思うので、私の場合は、ということになりますが、手術を受けて良かったなと思いますし、スペインまで連れていってくれた両親に感謝しています。
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終糸切断手術前:2016 年4月19日
終糸切断手術後:2016年12月7日
同じ病気で、キアリ研究所のホームページまでたどり着いた方に是非、海外の医療機関も選択肢の一つとして考えていただきたいとの思いで、この体験談を投稿します。キアリ研究所の皆様には、感謝の言葉しかありません。
娘が11歳頃、身長が急に伸び始めてから姿勢が悪くなり、全体的に左に傾くようになりました。そして、毎日のように姿勢を伸ばしなさいと注意していました。その頃はレントゲンを撮ることも、MRIを撮ることも考えていませんでした。ただ単に姿勢が悪いだけだと思っていたのです。最初の症状が出たのは13歳2月、ある日突然の左足のしびれでした。その後左手のしびれ、めまい、頭痛、嘔吐が続き、地元の総合病院でMRIを撮るとすぐに、病名がわかりました。
画像診断報告書には画像と初めて聞く病名が載っていました。「キアリ1型奇形」と「脊髄空洞症」です。初めて聞く病名でピンとこなかったのですが、説明してくれた医師が難しい顔をしていたのを覚えています。説明を受けると、治療方法は手術しかなく、しかも頭!今まで大病はなく、健康そのものと思っていたのでとても怖くなりました。娘もまさか手術が必要になるとは思いもしなかったと思います。
家に戻るとすぐこれらの病名を検索しました。書かれてあるのは悪いことばかり。ゾッとしました。そんな中で、バルセロナキアリ研究所の内容は、全く違うもので希望の光がさすようでした!しかしこの終糸切断手術は日本では行われていないと知り、愕然としました。早速研究所の日本人スタッフ高橋さんに連絡を取らせていただきました。
娘の症状は良くならず、学校に連絡をしてしばらく休むことにしました。
そこで私たちは、①日本で手術が豊富な病院で大孔減圧術か②バルセロナキアリ研究所へ行くか迷いに迷いました。結果は①でした。娘がバルセロナに行ける体力と気力がないと思ったからです。キアリ研究所の日本人スタッフ高橋さんには、今回は残念ですが、スペイン行きを断念する連絡をしました。症状がもう少し軽ければ、バルセロナに行く選択をしていたかもしれません。
地元の総合病院から転々として、4月に東京の病院で大孔減圧術の予約が取れ、無事受けることができました。術後の経過は良好で、嬉しいことに、辛かった症状は全て無くなりました。大成功!と家族皆で喜びました。
(体の側弯については、大孔減圧術後に地元で側弯症専門がある総合病院で診察を受けるようになりました。傾斜は25度でした。装具を作り、夜のみ着けるようにしています。)
その後も症状は出ず、3ヶ月後の8月に東京見物がてら軽い気持ちで診察を受けに、東京の病院へ行きました。そこで撮ったMRIを見て医師から言われたことは、小脳扁桃が少し下がってきていて空洞の減少があまり見られないので、1年以内にシャント手術が必要になるだろうと。青天の霹靂です。娘はこんなに元気なのに。もちろん先生のことは信頼していましたが、シャント手術にはかなり抵抗がありました。
私たち夫婦は、また迷いに迷いました。そしてバルセロナ行きを決めました。最終的に、今の娘には長い時間飛行機に乗る体力があるということ、そしてなによりキアリ研究所の日本人スタッフ高橋さんの誠意のこもったメールでのやり取りを通じて、研究所を信用し信頼することができたのです!
{病気の原因を取り除くために終糸切断手術をする}という研究所の説明に納得し、娘と話しあいました。
「娘のこれからの長い人生、病気の原因を止めることが一番大事なことではないか。それが外国であろうと、専門の研究所があるのだから。」「なにより手術内容が、体にかかる負担がシャント手術よりはるかに少ない。」
バルセロナに行く決意を固めました。
年が明けて2016年3月、娘と私たち夫婦は長い時間飛行機に乗り、ホテルに一泊してから歩いてキアリ研究所へ。グーグルマップのストリートビューで何度か街並みを見ていたので、実際にたどり着いたときに現実味を帯びて、期待が高まりました。担当してくださるマルコ・フィアヨス先生のお話を高橋さんの通訳で聞き、診察を受け、近くのシマ病院で、簡単な検査を終えました。何の心配もありませんでした。お二人とも、私たちに優しく暖かく接してくださったので、穏やかな気持ちで次の日の手術を迎えることができました。きっと娘も同じ気持ちだったと思います。
無事に実質1時間弱の終糸切断手術を受けました。私は娘とともに一泊入院をしたのですが、病室があまりにきれいなので驚きました。ホテルみたいでした!退院をしたらなるべく歩くと良いと先生に言われていたので、次の診察までの10日間、散歩をなるべくしました。来る前は、最後に一日観光ができればいいと思っていたのですが、観光がメインだったかと思うほど楽しく過ごすことができました。
バルセロナキアリ研究所の皆様、お世話になり本当にありがとうございました。心から敬意を表するとともに、感謝いたします。
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