Published by ICSEB at 2012年10月25日
手術日:2011年6月
私がまだ18歳の時だった2008年に、すべては始まりました。異常な痛み、めまい、平衡感覚の喪失、筋肉の痙攣、手足の衰弱、その他にも思い出せないくらい色々な症状がありました。体の異変に気づいて急いで病院に行きましたが、病院の先生には、学校の試験でストレスが溜まっているだけではないかと言われました。でも絶対にストレスからくるものではないと確信があったので脳のCT検査を受けましたが、結局その検査から原因はわかりませんでした。上記に挙げた症状のせいでほとんど歩くことができなかったので、病気がわかるまで色々な病院を回りました。
1年の間に、何回もかかりつけの医者に診てもらい、めまいの原因が内耳にあるのではないかと思い耳鼻咽喉科にも行きました。歩行困難は足から来ているのかもしれないと、足病医にも診てもらいました。循環器専門医、また、背中の異常な痛みを診てもらおうと理学療法士のところへも行きましたし、血行に問題があるのではないかと思い静脈学の専門医のところも訪ねました。
多くの医者に診てもらい、数えきれないほどの検査も受けましたが、結局何も原因は見つからず、担当医には脊髄のMRI検査(意外なことにこれの検査は以前に受けたことがない検査でした)を受けるように言われました。
日常生活を送ることは極めて困難で、動くことも難しいのに加え、座っていても激しいめまいに襲われ、本当に耐えがたいものでした。横になっても症状は改善されず、私にとって唯一落ち着いていられる時間は寝ているときだけでした。寝ている時間以外はまさに地獄そのものでした。
脊髄のMRI検査を受けていた時、おそらくこの検査も何の役にも立たないだろうなと思っていました。“脊髄のD8とD10に嚢胞あり”と書いてあるのを読んだとき、びっくりしたのと同時にパニックに陥りました。インターネットで嚢胞がどういうものなのか調べていくうちに、もう私の人生は終わったと思いました。複数のウェブページには、病気の症状は徐々に悪化していき、やがては車いす生活や植物状態になる可能性もあるだろうと書いてありました。
病院に急いで診察しに行きましたが、先生はこの病気のことを知らず、ただ名前だけを聞いたことがある程度で、今までこの病気の患者さんを治療したことはないと言っていました。先生には、この病気は深刻で非常に希少な病気で、神経内科医に診てもらった方がいいと言われました。
神経内科の先生に診てもらいましたが、“水を含んだただの小さい空洞だからたいしたことではない”と言われ、それを聞いて自分の病気や症状について何でもないはずがないと思いました。
いつも病気でいることにうんざりし、自らインターネットで情報を探し始め、患者さんの掲示板を見つけました。フランスで行っている手術について話していましたが、その手術はとても危険で、手術を受けた患者さんの中には症状の悪くなった人がいると言っていました。
そんな手術を私は受けようと思うはずもなく、引き続き情報を探していたところ、ロヨ先生のウェブページを見つけ、何度もそこに掲載されている体験談を読みました。体験談に書いてある内容が本当かどうか、手術の効果を確かめるため、研究所に問い合わせることにしました。ただ、当時手術を受けられるだけのお金もなく、痛みも消えなかったので、クレムリン・ビセートル先生という有名な先生に診てもらうことにしました。先生は、フランスでは私の病状で終糸切断手術を行わないといい、手術をするとしたら車いす生活になってからだと言われ、ロヨ先生に関しても「ただの嘘つきだ」と言いました。悔しさでそこを去り、どうしたらいいのかわからず、症状は日に日に悪化していく一方で、ほとんど何もできなくなりました。結局、クレムリン・ビセートル先生はフランス国内で脊髄空洞症に関して診てもらった最後の先生になりました。キアリ研究所の終糸切断手術に関してポジティブな意見が多かったので、バルセロナで手術を受けることに決めました(フランスにある脊髄空洞症友の会のエステルさんにはもちろん、親身になって質問に答えてくれたみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです)。
キアリ研究所にメールで検査画像を送り、手術可能かどうか診てもらうことにしました。私に残されたわずかの気力を使い、バルセロナに行くために闘いました。それは2010年2月のことです。キアリ研究所と終糸切断手術が私にとって最後のチャンスだったので、すべての希望を託しました。
ロヨ先生から手術可能だという知らせが届き、私は体内の神経細胞がすべて死んでませんように…と願いました。この時からアルバイトで稼いだお金を貯め始めました。バルセロナで手術を受けた患者さんと話したり、研究所のホームページに載っている体験談を読んだりして、なるべくフランスの掲示板(病気で苦しんでいるというネガティブな内容)を見ないようにしました。その後数ヶ月間は、症状の軽い日もあれば、身動きさえ取れなくなったりする日もありまちまちでした。だからとにかく早く行動に起こさなくてはという思いでいっぱいでした。
私自身の貯金と親戚の助けにより、今から1年4ヶ月前の2011年6月27日に手術を受けることができ、手術は無事成功しました。入院先の病院はフランスの病院と比べて新しくてきれいでしたし、医療チームもプロフェッショナルでとても優しい方々でした(患者側にとってそれはとても大事なことだと思います)。
手術を受けた多くの患者さんと私との違いは、手術直後、私は特に変わった変化を感じる事はなく、症状も残っていました。その時自分自身に、もう少し様子を見てみようと言い聞かせ、私と同じ状況にいる人達と話しました。そして1ヶ月後の身体検査をして、反射が戻ってきたこと、握力が10キロ増えていることなどがわかりました (手術の前は18キロだった握力が、手術後1ヶ月経って測ったら28キロに増えていて、とても嬉しかったです)。めまいに関して言えば、これはばらばらでした。本当に手術を受けてよかったのだろうかと自分自身に問いかけたり疑ったりもしましたが、周りの人に私の脊髄は3年間もの間ずっと引っ張られた状態だったのだから、回復するには時間が必要だということを思い出させてもらい、根気よく待ちました。
手術から1年経った今言えることは、病状は回復して今ではほとんど症状がないということです。能力の90%を取り戻し、これ以上は不可能だろういうくらい完全に普通の生活を送ることができています。手術を受けて本当に良かったです。医療チームの優しさとプロ意識に感謝すると共に、辛い時に私を支えてくれた人たちにも感謝の気持ちでいっぱいです。
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