Published by ICSEB at 2015年9月2日
手術日:2014年7月
はじめまして。昨年(2014年)、娘がバルセロナ研究所でお世話になりました。今はとても元気に暮らしております。それもひとえに手術のおかげと思っています。術後1年が経ち、一つの区切りと思い、私たちの経験や考えが、同じような病状を持っている方にとって少しでもお役に立てればと思い文章にまとめてみました。
当時14歳になる娘がキアリ奇形1型で、2014 年7月にバルセロナキアリ研究所で手術を受けました。日本人としては6番目ということでした。
きっかけは、2013年12月末に、旅行先でひどい吐き気と頭痛、手足のしびれ、意識を失ってうなされるといった症状が出たことから、入院してCT、MRIを撮りキアリ奇形と分かった次第です。年末から年始にかけて、同じような症状がひどく出たため計3回入院しました。ただ、ここでの診断結果は偏頭痛といわれ、キアリ奇形と直接関係するものではありませんでした。実は5歳のころにも1度だけ同様の症状で、入院の経験があります。その際には、癲癇(てんかん)の疑いということで、5年にわたって薬の治療をうけました。9年前の症状は私たち夫婦にとって強烈な印象として残っていました。今回の旅行先での症状は、その状況と同じで、自分達ではどうにもできない状況をもたらした出来事でした。それまでも何度か、それに似た軽い症状があったのですが、今回は明らかに同じだと思いました。振り返ってみると5歳の時の症状は癲癇ではなく、このキアリが原因だったのではないかと思いました。実際の症状とキアリ奇形との関連付けが難しいのがこの病気の特徴の一つではないでしょうか。
昨年の2月から、この病気について知るためにインターネットで調べていくうちに、これが原因で脊髄空洞症等の治りにくい病気を発症すること、日本で実施されている通常の手術をしても必ずしも治る保証はないこと、術後、一時的に回復したものの、その後も同じような症状で苦しんでいる方もいる等、この病気で苦しんでいる方が多いことを知りました。また、それと同時に、違ったアプローチで手術を実施するバルセロナキアリ研究所を知りました。
3月には日本でその方面で有名な大学病院で診察を受けたのですが、“症状が継続して出ていないのなら、様子見で全く問題ない、将来的に病気の進行が認められたら手術を考えましょう”といわれ、当時の発作がなんだったのかと非常に疑問に思った経験があります。娘自身が強く疑問に感じたようでした。私達は、とりたてて予防、改善の方策はないのだろうかと思った次第です。
同じタイミングで症状とMRIデータをバルセロナキアリ研究所に説明していました。診断結果としては、キアリ奇形と症状の関連性についての説明をうけ、更に詳しく調べるために追加のMRIデータが必要とのコメントをいただきました。このMRIデータの取得にいろいろと時間がかかり、その後の病状の変化も特になく、半ば、様子見で良いかと思い始めていました。
そんな中、私たちの気持ちを変える出来事は、追加のMRIデータの精査の結果、脊髄空洞症の予兆がみられ、一刻も早く手術をしたほうがよいということでした。手術を受ける決断をしたのは、昨年の6月です。大きく決断に動いた決定打は“病気を治すことはできないが、進行を止められる”というバルセロナキアリ研究所の一言でした。また、バルセロナキアリ研究所の手術が日本で行われる通常の手術よりも比較して負担が軽い、入院も簡易、もしこれで効果がなければ、次の対応として日本で通常の手術をすればよいと思ったことです。幸い、娘の症状は発作的な症状がでるだけで、日々で何か不自由があるわけではありませんでした。とはいえ、いつ発作的な症状が発症するかわらないこと、また発症したときには手のつけようのないほど苦しんで、周りは何もできないことから、とにかく病気の進行を止めたい一身で今回の決断にいたりました。決断は私たち夫婦のみで決めました。両親等には不要な心配をかけたくなかったので、事前には相談をしませんでした。
私達が一番悩んだ点として、なぜ日本の医療(他の世界も同様)とバルセロナキアリ研究所の推奨がこれほどまでに見解がちがうのか?なぜ日本でなく、海外、スペインなのか?といった点です。私達の結論は、いろいろと調べる中で、バルセロナキアリ研究所の考え方に賛同し、場所がたまたま日本でなく、スペインであるということでした。バルセロナキアリ研究所のさまざまな国籍の方の体験談を読む限り、私たちと同じように他の病院で適切なアドバイスをうけられず、最終的に何年もかかってバルセロナキアリ研究所にたどり着いた方が多く、その方達がなんらかの改善が見られ感謝の意を唱えている等、非常に説得力がありました。実際にバルセロナキアリ研究所で手術をうけられた日本人の3名の方から経験談をお聞きできたことも、大きな成果でした。やはり、生の声、同じような境遇の人の悩み、決断に至った考えを聞くことはとても大事なことと思いました。
日本でなく、海外で手術といった点は、非常に抵抗があると思います。ただ、他に選択がない中で、通訳の方を通じて的確に内容を伝えていただける、日本語でサポートいただける安心感がとてもありました。初診から手術前後を通してのコミュニケーションにおいて不安要素は全くありませんでした。一方で、私達の心理的抵抗が少なかったのは、海外に家族で赴任している状況にあったからかもしれません。海外に住んでいたため、日本に頻繁に行き来できたわけではなく、あまり日本の医師の方の影響を受けなかったと言ってもよいかもしれません。
最後になりますが、複数の言語対応で通訳の方を置いて、世界中の潜在的な患者さんに対してこの病気の治療に取り組まれているバルセロナキアリ研究所の姿勢、考え方に本当に敬服いたします。もし、インターネット上に日本語での案内がなければ、また、もし日本語ですぐに話ができる環境になければ、大きな遠回りをしなければならなかったか、一生、巡り会うことはなかったと思います。本当に研究所の病気の治療に対して取り組む姿勢に感謝したい、ロヨ先生、フィアヨス先生、高橋由佳さんの誠実かつ心温まる対応に感謝したいと思います。また、スペイン滞在中のバルセロナキアリ研究所のスタッフの皆さんの心温まる対応にも、本当に感謝しております。
今後、多くの同じような境遇の方々が、バルセロナキアリ研究所を通じて病気の回復に向かわれることを祈念しております。
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